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歯髄を温存する治療
2018年6月27日
1、7歳の女の子です。左下6の虫歯の治療で来院されました。症状はありませんでしたが、レントゲン写真では歯髄の近くまで進行した虫歯の像が確認できます。
通常の治療であれば虫歯を1回で取り除き、歯髄を一部取り除く治療や歯髄をすべて取り除く治療を行うのが一般的ですが、当院では歯髄を残す治療(歯髄温存療法)をとりいれています。
歯髄を温存する治療とは・・・歯髄に近い感染象牙質を残し、それ以外の感染象牙質は徹底的に除去します。そして、水酸化カルシウム製剤(菌の無菌化、第3象牙質の形成を促す薬剤)を残した感染象牙質の上に貼付し、セメントやプラスチックで蓋をします。6ヶ月ほど待ちます。6ヶ月の間で外部からの交通を遮断され、細菌の栄養源となる糖の摂取ができなくなった細菌はより無菌的に、そして感染象牙質と歯髄の間に第3象牙質という新たな組織が形成されます。新たな組織が形成されたことにより、感染象牙質を除去しても歯髄が表に出てくることはありません。感染象牙質の除去後、最終の詰め物を入れるという治療法です。
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赤い部分は感染象牙質です。それ以外の感染部分はすべて取り除きます。
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6ヶ月後です。乾燥した感染象牙質が確認できます。
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感染象牙質をすべて除去しました。露髄は見られません。
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コンポジットレジンで修復しました。
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症状はなく、経過良好です。紙一重のところで抜髄を回避できました。